田邨 一男さん(今福線を活かす連絡協議会)

悲運の歴史を伝える未成線を地域の宝へ

2020.11.11

 今回は、今福線を活かす連絡協議会の田邨会長と今福線ガイドの会の岩﨑さんに、今福線の歴史や魅力、浜田応援団に手伝って欲しいことを伺いました。一度は住民に忘れられていた鉄道遺構に光をあて、地域活性化につなげようとガイドやウォーキングイベントを実施されています。

 


 

広島と浜田を55分で結ぶ夢の超特急~2度も中止された悲劇の未成線~

―どんな遺構なのか教えてください。

(田邨さん)今福線は広島と浜田を結ぶ広浜鉄道の島根県側のルートとして昭和8年、旧国鉄山陰本線の下府駅から石見今福駅までが着工されました。しかし、工事がほぼ完成した昭和15年、太平洋戦争のため中断されました。戦後、今福線旧線とは別に浜田駅を起点とする今福線新線として工事が再開されましたが、昭和55年、国鉄の慢性的赤字経営の影響により、工事が中止されました。その後、工事を引き継ぐ事業者も現れず未成線として終わり「幻の広浜鉄道」と呼ばれるようになりました。

 現在、下府駅から旭町駅跡地間にはトンネル、橋梁、橋脚等の遺構が残っています。平成20年には、「今福線コンクリートアーチ橋群」が公益社団法人土木学会から選奨土木遺産の認定を受けました。⇒広浜鉄道の紹介

(写真:左から田邨会長と岩﨑さん)

 

 

 

今福線をもっと多くの人に知ってもらうために

―活動内容を教えてください。

(田邨さん)「今福線を活かす連絡協議会」は、今福線の遺構を活かして交流人口の増加や地域活性化を図ることを目的として、2016年に沿線の13団体(島根県立大学、まちづくり委員会、島根県技術士会今福線研究部会など)により設立されました。これまでにツアーのガイドやガイド育成、今福線を活用したイベントの実施を行ってきました。特に今福公民館(まちづくりセンター)が中心となって行う「ウォーキング大会」は、毎年市内外から多くの参加があり、当時の路盤やトンネル内を歩いたり、ゴール後には地元の人がふるまう猪カレーを味わってもらったりしながら、今福線の魅力を伝える活動を続けています。

      

(写真:今年行われたウォーキング大会の様子)

 

 

 

今福線最大の見どころは新線と旧線が交差する「第一下府川橋梁」

―ガイドをされている岩﨑さん、今福線のおすすめポイントを教えてください。

(岩﨑さん)今の時期だと、紅葉で赤く見える5連アーチ橋をぜひ見てもらいたいです。現在は県道として使用されており、県道下に下りて眺めると、5連アーチ橋の奥の山側に擁壁を重ね合わせた面白い構造であることが分かります。それから、「おろち泣き橋」という面白い橋もありまして、橋の下の1点に立つと川のせせらぎの聞こえ方が変わるポイントがあります。4連アーチを大蛇の胴体に例え、今福線が開通しないことが決まった日から、おろちがひそかに泣き続けていると言われています。また、今福線の最大の見どころでもある「第一下府川橋梁(新線)」と「4連アーチ橋(旧線)」は、新線と旧線が交差して同時に眺めることができる全国的にも珍しい場所です。映画やドラマの撮影にも使われています。⇒ロケ地巡り

    

(写真左:おろち泣き橋  写真右:第一下府川橋梁[新線]) 

 

 

これからも気持ちよくお客さんを迎え入れるために

―浜田応援団に手伝って欲しいことはありますか。

(田邨さん)私たちが今抱えている課題は、沿線の維持管理をしていくことです。私たちも高齢になっていくなかで、草刈りなどの清掃作業は年々大変になってきています。一度は忘れられた今福線の価値が再認識され、観光活用のために整備をしてきたわけですから、何としても後世に繋いでいきたいと思います。皆さんにはぜひ、気持ちよくお客さんを迎え入れることができるように、沿線の草刈りを「てご」してもらえれば嬉しいです。汗を流した後は、猪肉など田舎でしか味わえない料理を一緒に食べて楽しみましょう。

   

(写真:草刈りの様子)

 

 

 


★かかわりシロチャンネルの取材に協力いただきました。

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