浜田城跡散策ツアーを開催しました

浜田城跡散策ツアーを開催しました

2021.04.22

 しまね田舎ツーリズム推進協議会主催により【親子で学ぼう!浜田城の魅力とその歴史】と題して、オンラインによる浜田城跡散策ツアーが開催されました。一般社団法人イワミノチカラが運営主体となり、浜田城跡からカメラで参加者と繋ぎ、オンラインでもリアルに現地の雰囲気を感じることができる企画が実現しました。

 また、浜田応援団の頑張る人でもご紹介している小川直城さんからは、ガイド講師役として、浜田城の歴史などについて丁寧に案内してくれました。

 イベントに参加された方からは、「実際に行ってみたい」「他のお城もガイドしてほしい」「まだ若いのにここまで詳しくお話しできるのはすごい」「今度は北前船についても知りたくなった」など感想をいただき大好評でした。

 今回はイワミノチカラの伊藤康丈さんと、小川直城さんにお話しをお伺いしました。

 


 

地域の魅力を発信する

‐今回の企画運営に携わったイワミノチカラ伊藤さんに、この企画に至った経緯についてお伺いします。

(伊藤さん)「しまね田舎ツーリズム」とは、農山漁村で、地元の人々との交流を通して、農林漁業体験やその地域の自然や文化、くらしに触れることです。

 これまで毎年3月の時期に「しまね田舎ツーリズム親子体験キャンペーン」を展開していましたが、新型コロナウィルスの対策として、今年は完全オンライン開催となりました。

 昨年秋に実施した地域遊びイベント「いわみん」で、浜田城の体験ツアーを企画運営してくれた小川直城君に「オンラインでお城ツアーをやってみないか?」と声をかけました。

(写真:浜田城跡の現地案内役の伊藤康丈さん)

 

 

 

浜田城跡散策ツアー

‐小川さんに、今回の企画でガイドを担当されたきっかけをお伺いします。

(小川さん)3月まで僕は浜田市にある島根県立大学に通いながら、民間団体のボランティアガイドの会に所属していました。今は大学生活を終え、実家のある名古屋にいるのですが、浜田城への想いは変わらず持っていました。

 そうした中、伊藤さんから「オンラインでガイドをしてみないか?」というお誘いを頂いたので二つ返事で承諾しました。正直なところ自分で大丈夫かなという不安もありましたが、まずはやってみようと思いました。

 そもそも僕にとって城は、心の支えのようなものです。その中でも浜田城という城は、(今の浜田市ができるきっかけとなった)歴史的に重要な場所ですが、あまりご存じない方が多いと感じていました。それなら、「浜田城の歴史を学んで、実際に城を攻めてみる!」プログラムであれば、参加しやすいのではないかと考えました。また、今までに浜田城の探索ツアーを現地で行っていたのですが、親子向けのプログラムを僕がメインで行うのは初めてだったので、分かりやすく、面白くもあるプログラムを追求してみました。

(写真:浜田城跡のガイド講師役の小川直城さん)

 

 

‐今回のツアーの見どころを教えて下さい。

(小川さん)当ツアーは、オンラインプログラムということで、①浜田城とは何か ②浜田城を登るの2本立て構想にしました。前半は、説明が中心でしたが、日本各地にある城のユニークな守りの仕掛けを紹介しました。後半では、中継をしながら城を登り、現地の案内では歩けないところも含めた、当時の浜田城の登城口に沿って登りながら、いかに武将たちが城を攻めたのか、城が堅固であるかを紹介しました!

 「1人で歩いたら気がつかなかった」と思えるような浜田城のエピソードも交えて紹介できたかと思います。

 参加した皆さんには、クイズや質問を投げかけ、城の面白さを考えていただきました✨

  

(写真左:浜田藩追懐の碑 写真右:浜田県庁の門)

 

(小川さん)あとは、今回3月下旬だったので、ちょうどこの時期に咲く桜が見ることができたのも良かったですね。実はこの日、僕がいる名古屋は土砂降りだったので正直不安でした(笑)。

 オンラインでも解説しましたが、全国の城にはこのような桜や季節の花が植えられることがあります。行政や民間団体が植栽しており、観光地としても多くの方に楽しんでもらえます。

 浜田城は、西日本有数の桜の名所としても知られていて、日本海とセットで見られるロケーションは素晴らしい景色と感じます。

(写真:浜田城跡に植えられた桜)

 

 

‐お城を散策する際のポイントを教えてください。

(小川さん)お城散策は、皆さん思い思いの感情に浸っていただければよいのではないかと。歴史を学んで、その城の良さを探してみたり、植物や昆虫、景色などの自然景観を眺めてみたりなど…自由です(笑)。

 今回のツアーでは、僕は「城を登るときは、攻める側で、頂上からは城を守る側の気持ちになって」散策することをおススメしました。

 今の時代の私達は気兼ねなく天守や頂上まで登れますが、当時は城を守るために石垣や堀などをつくって、攻めてきた敵に攻撃できるよう備えられていました。階段を登っていても、どこから矢や鉄砲が飛んでくるかと思うと恐ろしいですよね。この視点でみると、城の構造や当時の人々に興味が湧いてくるので、ぜひ一度はチャレンジしてください!

  

(写真:今回案内いただいた浜田城跡散策コース)

 

 

‐小川さんからご紹介のあった二ノ門というところに特徴がありましたね。

(小川さん)そうですね。二ノ門をくぐるとみえる枡形虎口(ますがたこぐち)は、枡形(四角形)に設けられた郭(くるわ)で虎口(=小口)と呼ばれる小さな入口から入る場所のことを指します。攻めてきた敵がこの場所に入った際に、守る側は敵の全方向から攻撃ができるという、城の最終形態の仕掛けです。要するに、敵を簡単には入れない工夫であったと思ってもらえれば良いです。

 浜田城は大阪城(大阪府)や松江城(島根県)ほどの立派な枡形虎口ではありませんが、地方の小さな城でも取り入れたい仕掛けであったという点からも、見どころです。

   

 

(写真:浜田城跡の二ノ門周辺)

 

 

‐頂上にはお城の天守がありませんでしたね。

(小川さん)そうですね、浜田城は天守が残っていないんです(泣)。

 浜田城は今から約400年前の江戸時代初期に浜田藩によって築城されましたが、江戸時代末期の1866年に反幕府運動の中心であった長州藩(現:山口県)に攻められたことを契機として自焼退城(自分の城を焼いて、別の地へ移ること)としました。(この戦いを「石州口の戦い」と言います。)

 この戦乱の背景には、当時の浜田藩主松平武聡(たけあきら)公が当時の将軍徳川慶喜公の弟であったことが影響しています。浜田藩は、西は長州藩、東は石見銀山を守る幕府の要衝として江戸時代初期に成立していましたが、この頃の浜田藩の武器は長州藩が欧米から輸入した近代兵器に敵わなかったため、城を占拠されないように浜田藩主は城を燃やしたと伝えられます。(※諸説あり)

 その後現在まで復元されていませんが、天守の礎石跡を見ることができます。また最近の研究によってCGで復元がされています。(高さは15mです。)パンフレットや看板などで閲覧できるので、ぜひ当時の様子をイメージしていただければと思います。

   

(写真左:浜田城の天守があったとされる場所 写真右:天守のCG復元)

 

 

‐頂上から見渡す日本海や日本遺産外ノ浦(とのうら)の景色は格別でしたね。

(小川さん)城は観光地として取り上げられることが多いと思いますが、天守には二つの役目がありました。①敵を迎え撃つための最終的な砦・監視するための物見櫓、②地域の象徴です。

 ①は城が軍事要塞ですから、敵の動向を監視できること、鉄砲や矢など様々な道具や仕掛けで敵に攻撃できる工夫がありました。浜田城は江戸時代という平和な時代に築城されましたが、東に見える外ノ浦や日本海で行われた貿易を監視する役割を持っていました。

 ②は天守を見上げる時に思わず写真を撮りたくなってしまうような景観美があることです。人々の心に響くような見た目と町の人がどこからでも見渡せることは、城を持つ武士の強さを表すのに都合がよく、町の秩序と平和をもたらしていました。そして今に至るまで、城は多くの町で地域の象徴として語り継がれています。

(写真:浜田城天守跡周辺から見下ろした日本海や日本遺産外ノ浦)

 

(小川さん)このほか、プログラム内では参加者より「お殿様が天守に住んでいたのか?」という質問をいただきましたが、それは違います。住んでいたのは「御殿」と呼ばれるお屋敷です。名古屋城(愛知県)の本丸御殿が有名です。浜田城では山麓に「南御殿」と呼ばれる御殿がありました。(山頂は生活が大変なので、山麓に建てています。山頂に登るのは、監視や定期点検、非常事態くらいでした。)ちなみに、城の住んでいたお殿様として、安土城(滋賀県)を築城した織田信長が言われています。

 まだまだ天守について語ったこと、語りたいことはありますが、詳しいことはまたの機会にします(笑)

 

 

‐日本遺産外ノ浦の歴史についてもお話されていましたね。

(小川さん)プログラムの最後には、浜田の商業を支えた外ノ浦を紹介しました。

 外ノ浦は、江戸時代に浜田の主要な貿易港であり、北海道から大阪の間を通行する北前船が行き来していました。それはこの地形が、ちょうど日本海から狭い入り江にはいったところにあり、乳母の懐ともいわれるほど、波の立たない静かな浦であったためでした。江戸時代末期に土砂が堆積したために貿易の拠点ではなくなりましたが、当時の面影は今も残り、2019年には日本遺産に登録されています。

 

 

 

‐まだまだ今回の企画だけでは語りきれないですね。次回の開催を楽しみにしています。

(小川さん)当日参加できた方も、この記事をはじめて見て知った方も、多くの方に浜田城の魅力が伝われば幸いです。初めてのオンライン開催ということで、まだまだ改善していくべきことは山積みですが、今後もプログラムを開催していきたいと思いますので、応援のほど宜しくお願いいたします。

 

 

‐では最後に伊藤さんにお伺いします。今後予定している浜田の歴史を学べるオンラインでの企画はありますか。

(伊藤さん)4月以降のイベントは現在調整中ですが、小川直城君が浜田を離れていてもオンラインであればプログラム運営できると思いますので、今年も「いわみん」の中でオンラインツアーを開催したいと考えています。

 このほかにもイワミノチカラとして様々な企画をご用意したいと思っています。

 

 

 

 

(サイト紹介など)

小川直城さんの紹介は こちら

一般社団法人イワミチカラのサイトは こちら

しまね田舎ツーリズム協議会のサイト(おいでよ!しまね)は こちら

 

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