福郷 生雲さん(石見焼雪舟窯)

自分が手がけた陶器で人の感情を引き出せることが幸せ

2023.02.13

路肩に雪が残る浜田市旭町に、水墨画で有名な雪舟の精神を陶芸に再現した窯元「雪舟窯」がある。3代目福郷生雲さんは、一度は別の道に進むも父であり伝統工芸士・福郷惣作の背中を追い、6年半の修行を経て28歳で雪舟窯に入った。生雲さんが手がけるマグカップや器は、モダンなデザインと美しい色合いが印象的。

窯元の未来と、陶芸にかける思いを伺った。(20232月取材)

 


 

カラフルな陶器が店頭に並ぶ 3代続く石見焼の窯元

―雪舟窯の歴史を教えてください。

(生雲さん)水墨画で有名な画僧雪舟に深く傾倒し、その雪舟の精神を陶芸として再現したいとの思いから、昭和20年に祖父にあたる福郷柳仙が窯を築き「雪舟窯」と命名しました。石見焼は18世紀の中頃から石見地域で焼かれている陶器の総称で、高温で焼成できるため耐久性が高く、また陶土が耐酸性であることから耐酸・耐塩・耐水性の高い陶器です。かつては茶器や抹茶茶碗、花瓶が中心でしたが、今は生活スタイルの変化に合わせてマグカップや皿などの日用品を作っています。釉薬(陶器の表面を覆うガラス質の膜)を調合し、様々な色を表現しています。

店内には色とりどりのマグカップが並ぶ

 

 

石見焼を残していくために

-生雲さんはいつ窯元を継ごうと決心したのでしょうか。

(生雲さん)生まれたときからの運命というか、何となく継がなければいけないという思いがありましたね。一旦は県外の民間企業で働いてみたものの肌に合わず、岐阜にある窯元で6年半の修行を積み、28歳で雪舟窯に帰ってきました。私たち職人は数をこなしてなんぼの世界です。ご飯茶碗だったら、同じものを1日に100個作ります。工程を説明すると、まず成形するのに約3日、そこから乾燥させるのに12週間。素焼きをしてから模様をかいて釉薬をかけ、本焼きをして完成まで約1ヶ月かかります。ある種修業のように、正確に淡々と作業を進める仕事が性に合っているのかなと思います。

成形はすべて手作業で行う

 

 

喜怒哀楽を表現してもらえるのが魅力

―陶芸家としてのやりがいはどのような時に感じられるのでしょうか。

(生雲さん)商品を見てもらい「これ、いいわ~」とか「色がいい!」とか人の感情を引き出せることが魅力だと思いますね。ときには「使いづらいわぁ」とかマイナスな感情もありますが、それも含めて喜怒哀楽を表現してもらえることがやりがいです。ひとつひとつ手作業で成形していて、同じ商品を作っても仕上がりにそれぞれ特徴があるので、その違いも楽しんでいただけると嬉しいです。最近は個人のお客様からも形や色のオーダーをいただくことがありますが、商品をとおしてお客様とお話しできることが楽しいです。

多くの人に手に取ってもらいたい

 

 

石見焼を広めるために、販売場所を探しています

―窯元としての目標を教えてください。また私たちに関われる余地(かかわりシロ)はありますか?

(生雲さん)石見焼を残していきたいです。そのために石見陶器工業協同組合としても後継者の育成に取り組んでいるところです。市外の方にお願いしたいのは、石見焼の名前を広めていただくこと、そして商品を置いてもらえる販売場所を提供していただくことです。今年5月末より、2年ぶりに登り窯に火を入れます。登り窯でしか表現できない独特な仕上がりがとても素敵なので、完成まで楽しみにしていてください。陶芸体験も行っておりますので、ぜひ足をお運びください。

敷地内には現役の登り窯がある

 

 

【石見焼雪舟窯】

住 所 浜田市旭町丸原1番地

電 話 0855-45-00368001800

サイト http://meshinotane.com/iwamiyaki/

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