高校から市外に進学され、現在は地元である金城町にUターンし起業された佐々木竜弥さん。
昨年、浜田市金城町波佐に温泉施設「ほたる湯館」をリノベーションしてカフェをオープンされました。
現在はカフェのみでなく、「地域活性化」というミッションを胸に掲げ、同地域内に宿泊施設やサウナなどをオープンされたほか、コンサルティング事業も並行して進められています。
今回は多忙のなか、地域の中で活き活きと活動をしておられる佐々木さんにお話をお伺いしました。
―Uターンして起業されたきっかけを教えてください。
(佐々木さん)
地元が金城町で、金城中学校を卒業した後、高校から浜田を出て大学進学・就職は県外でしました。
大学に入学したときからビジネスをおこそうと考えていた訳ではなく、大学の時のインターンシップでビジネスを学び興味を持ちました。その時から起業をしようと思い、まずはその前に語学力を活かし、外資系企業で2年間働き経験を積みました。
そして昨年8月に、学生時代の友人と株式会社Adeloを私の地元である金城町で設立しました。
―なぜ金城町で起業をしようと思われたのですか?
(佐々木さん)
高校時代から地元に帰省する立場となってからは、帰省のたびに高齢化や過疎で地元が衰退していく姿を見て、ずっともどかしさを感じていました。
前職では大企業へサービスをご提供しており、すごくやりがいがありました。
その一方で、地元をはじめとした、大きな課題を抱える地方から目を背ける自分自身にギャップを感じていました。
都会での自分は、コンサルタント100人の中の1人で、私の代わりはいくらでもいます。
ですが地元では率先して地方を活性化しようという若者が少ない状況で、これこそ自分にできることのではないかと思いました。
島根県の全地域をリサーチした中でも金城町の波佐という地域は個性豊かで、国道が通っており、
自然がすぐそばにあるなどポテンシャルがあります。
なので「起業するなら波佐で」と決めていました。
また、地元ということもあり、地域の方など周りの協力を得られるというメリットもありました。
私は小さいころから負けず嫌いで、小学校の時の休み時間に遊んでいたスポーツで負けても悔しくて泣いて、勝てるようにトレーニングをするような子でした。
また、もともと刺激的なことが好きで、リスクがあっても挑戦して大きなものを得たいと思っています。
市外に出てから、自分のミッションは地域活性化だと思っていましたが、起業の準備をする中でビジネスの勝ち筋が見えたので金城町での起業を決意しました。
クラフトコーラ「浜田コーラ」の開発
-まずはどんなことから始められたのですか。
(佐々木さん)
まず、看板商品「浜田コーラ」の開発を行いました。
浜田のお土産といえば、ずっと変わらず昔からあるものが多く、そこに風穴を空けるチャンスと考えました。
なぜコーラなのか?ですが、波佐や浜田にはきれいな川と海があり、清涼飲料水のイメージにぴったりだと思いました。
飲み物は保存がきくので在庫廃棄のリスクも少ないです。
あとは、何よりも自分がコーラが好きだからという理由ですね。
10種類以上のスパイスのほか、浜田の藻塩を入れているのですが、塩を入れると味がまろやかになります。
カフェで飲むことができるほか、アクアス様のような大規模商業施設や、歴史ある複数の温泉旅館様でも提供して頂いております。
お店では炭酸割り、コーララテが楽しめます。
おすすめのコーララテ(ミルク割り)、飲んでみると藻塩の加減がちょうどよく、とても美味しかったです!
ご自身で割って楽しめる原液も販売されていますよ。
浜田コーラや施設のアイコンにもなっている人魚のデザインにはどんな想いが込められているのですか?
(佐々木さん)
浜田でよく見るお土産のイメージを一新したいと思い、レトロな淡い色合いのデザインにしました。
山奥の町なのに、なぜ人魚のデザインで、コーラも藻塩を使ってるんだろう?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
波佐には周布川が流れており、浜田の海を支える川ということで、私たちは「海のはじまるまち」と呼んでいます。
いろいろな候補がありましたが、自分たちでいろいろと悩んでこのデザインに決めました。
たしかに今まで浜田にあったお土産ではあまり見ないデザインで、気になって思わず手に取ってしまいますね!
そして次のステップへ~Cafe&Bal Sufu~
(佐々木さん)
本命商品ができたので、それを買ってもらうための次のステップとして昨年カフェをオープンしました。
―それがCafe&Bal Sufuですね。どんなお店なのでしょうか?
(佐々木さん)
始めはDrivein Cafe Sufuという名前でオープンをしました。
波佐は、広島へ続く国道があるのにも関わらず、素通りされてしまう地域でした。
そんな波佐に立ち寄ってもらいたいという願いを込めてDriveinと名付けました。
地元の方にはうどん屋さんや食堂などが喜ばれるのでしょうが、地域の外から若い方にも来てもらうためには新規性が必要と考えカフェにしました。
浜田コーラの他にもランチやデザートを提供しています。
ディナーは現在1日1組限定の予約制としていますが、今後は予約なしでもお越しいただけるようにする等、ほかにも楽しいアイデアも考えています。
昨年11月のオープンから、沢山のお客様に立ち寄っていただいています!
Instagramに沢山施設やカフェの素敵な写真が載っているので皆さんぜひ見てみてください!ピザが人気とのことです。
―カフェができて波佐に活気が出てきているのではないでしょうか。
(佐々木さん)
みなさんに立ち寄っていただく場所にはなっているのではないかと思います。
しかし、道中立ち寄った場所でいろいろ買い物をしようと思いますか?
せっかくなら目的地でより沢山買い物をしたいと思いますよね。
また、立ち寄り場所ってあまり印象に残らないことも多いと思います。
そこで「立ち寄る施設」ではなく、「目的地」にしたいという願いを込めてCafe&Bal Sufuに名前を変更しました。
カフェと同じ敷地内に、サウナやキャンプができるスペースもこの夏新たにオープンさせました。
川や山など自然がすぐ近くにあるので今後は他にもいろいろな体験ができるようにしたいと考えています!
私もそうですが、アウトドアが好きな人にとっては聞いているだけでも目的地として行きたくなる場所ですね!
キャンプができたり宿に泊まれたりと1日だけでなく何日も楽しめそうで、行く人それぞれでまた違った楽しみ方ができそうですね!
―ステップを踏み、着実に地域活性化というミッションに向かっておられる佐々木さん、今後はどのような構想をもたれているのでしょうか・・・!
自分たちのミッションは地域活性化
(佐々木さん)
現在は、企業にとってSNSは避けて通れないものとなっています。
しかし地元の企業様の中には、そもそもSNSとはなにか?という状態のところもあって、SNSを使った情報発信のノウハウを教えるということもしています。
また、地元の企業様などのコンサルティング業務をはじめとして、業務は多岐にわたります。
地域のみんなで稼ぐ、地域全体で元気になるというのが目標です。
会社の名前である「Adelo」とは世界最古の哺乳類といわれておりネズミのような生き物であるアデロバシレウスから名前を取っています。
恐竜と同じ時代に生き、恐竜のように派手ではなく、日陰で生活していた彼らですが、しっかりと危機に備えていたので、恐竜よりも長く生き延び哺乳類の祖先となっています。
私たちも地域の危機に備え、持続的に地域と関わり続けお手伝いしたいという想いを込めています。
―大変だったことはありますか?
(佐々木さん)
壁にぶち当たったことは沢山ありました。
例えば、昨年カフェをオープンしてから、冬には雪が沢山降って大変でした。波佐はもともと雪が多い地域ですが、去年は特に多くてお客様にどうやって来てもらえばいいのかという状態でした。
あとは新しい会社なので、スタッフの募集が大変でした。
刺激的なことが好きという話はさきほどしましたが、感覚で事業をやっているわけではなく、
リスクと見込める結果を天秤にかけたうえで日々仕事をしていますし、大変だったこと、
苦労したことはすべて自分たちのノウハウとして保存しています。
―佐々木さんが今後チャレンジしていきたいことを教えてください。
(佐々木さん)
地域活性化のために、カフェを拠点として、いろいろな施設をオープンしました。
今後さらに事業を広げていき、波佐が多くの方の旅の目的地となりこの地域が活性化するのが目標です。
今後、事業が成功したら、ここでの事業をモデルとして他の地域に積み重ねたノウハウを展開していきたいと思っています!
―日々、どのようなやりがいを感じていますか?
(佐々木さん)
利益が上がったときよりも、お客様に喜んでもらえた時、満足してもらえた時、地元の方に感謝されるときがいちばんやっていて良かったなと思います。
例えばカフェでの料理を例に挙げると、現在ディナーは1組限定の予約制なので記念日などに利用していただくこともあります。来ていただいたお客様に喜んでもらいたいという想いで自分たちが開発したメニューを提供し、満足していただけたときはすごく嬉しいです。
「佐々木くん達が波佐にきたのが、自分たちにとっては宝くじに当たったようなものだ」と地域の方に言われた時も嬉しかったです。
社会的に意義のあることができたときにすごくやりがいを感じます。
―応援団の方にメッセージをお願いします!
(佐々木さん)
私が地元に戻って起業をしてから、一緒に起業した友人も含め、会社の関係者だけでも浜田市の関係人口を10人くらい増やしました。
日本の中でもド田舎といってもいいくらいの地域で事業をするということで、リスクももちろんありましたが、仲間と本気でぶつかり合って面白いことをしたい、地域活性化をしたいという想いでやっています。
これからさらにいろんな方面から必ず地域活性化というミッションに取り組んで行くので、応援してください!
ホームページ(https://186-haza.com)
Instagram(@cafe.bal_sufu、@186.haza)
お忙しいなか、たくさんお話をお聞かせいただきありがとうございました。
(令和7年8月22日取材)
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